卓越した才能を持つ台湾生まれイギリス国籍の建築家ヤン・ヘン・チェンと、優れた織物作家でテキスタイルデザイナーでもある築城則子から成るこのチームは、木、竹、織物など様々な自然素材を使った作品で、工芸を再生させようとしている。築城は、1980年代に伝統的な小倉織（こくらおり）を復活させた名工であり、かつて武士の袴の生地に用いられていた革のような光沢のある緻密な織物を再生させた。また、小倉織の縞デザインをモチーフとしたインテリアやプロダクトのデザインも手がけている。チェンは革新的な建築家で、伝統工芸とインテリアの関係を再構築する先見性を持つ。二人は、小倉織のアートパネルを手がけるなど、伝統工芸の新たな解釈を現代建築やインテリアに取り入れることで、デザインの展望を変えようと試みている。